20世紀に発見された未開部族タサダイ族
2015/04/04
1960年代の後半にフィリピン・ミンダナオ島の熱帯雨林に孤立したまま何千年も原始的な暮らしを続けてきた部族が発見されたという報告があり、世間を賑わせました。
彼らは「タサダイ族」といって、洞穴に居住し、わずか26人、6家族の部族で、カニやオタマジャクシ、ヤムイモなどを食べて暮らしていたと記述されています。
また、彼らの持っている道具は、石斧や穴掘り棒などの原始的なものばかりで、火をおこすのに錐(キリ)を使っていました。
タサダイ族は、博愛精神に満ちた民族で「武器」や「敵」、「戦争」などといった単語は彼らの言語には存在しないとされています。
タサダイ族に最初に接触した人物は地元の猟師で、彼らにナイフを与え漁をすることを教えたため、彼らの恩人となりました。
その地元の漁師が、当時のフィリピンの環境大臣だったエリザルデ2世に報告し、この原住民の存在が世に知れ渡るようになります。
この時の様子は、ナショナル・ジオグラフィック誌の表紙になったほどなので、世界的に注目されたことと思われます。
その後、タサダイ族はフィリピン政府によって、保護されるようになりますが、彼らの住むエリアを保護区として、壁で囲いさらに、周囲を兵士たちが監視するという状況だったので、その生活を外から伺い知ることは、困難でした。
しかし、この世紀の大発見は、世界的な詐欺事件へと発展します。
調査のために現地へ入っていた言語学者が、タサダイ族の言葉に「モルタル」や「屋根」など単語があって、洞穴に居住していることと辻褄が合わないことがわかってきます。
また、ある人類学者は調理した米が洞穴に運び込まれるところを発見します。
さらに、1986年にマルコス政権が崩壊すると、火をおこすのにキリを使っていたはずのタサダイ族が、ジーンズを履きたばこを吸っているところまで、発見されて、ついにでっち上げであったことが海外のジャーナリストたちによって暴かれます。
原始住民の発見は、当時の環境大臣のエリザルデ2世によって書かれたシナリオで、タサダイ族を保護するという名目で集められた金を懐へ入れるための策略だったのです。
後にこの壮大な詐欺の掛け人は、3500万ドルの金と25人の少女を連れて国外へ逃亡したという話です。
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