100匹目の猿現象はデタラメ
2015/04/04
あなたは、「100匹目の猿」という話を聞いたことがあるだろうか?
宮崎県の幸島に住む野生の猿にさつまいもを与えていたところ、自然と1匹の若いメスザルが海水でイモを洗って食べることを覚えました。
そのうち、同じ群れの他のサルたちもこのメスザルの真似をして、イモを海水で洗って食べるようになります。
この習慣をもつ猿が100匹に増えた頃には、この群れのほとんどの猿達がイモを洗うようになっただけでなく、この群れから遠く離れた本州に住む猿の群れにも、この習慣が伝染したという話です。
私が、この話を初めて聞いたのは、十数年前のことで、それは、経営コンサルタントの神田昌典氏の著書か何かでした。
当時、神田氏は「実践会」という中小企業の経営者を対象とした会員制の勉強会を開いており、アメリカから「ダイレクト・レスポンス・マーケティング」という概念を日本に持ち込んできたところでした。
そこで、神田氏は先の「100匹目の猿」の話を持ちだして、この素晴らしいマーケティング手法も、猿のイモ洗いと同様に日本中に伝播していくということを言っていました。
確かに、ダイレクト・レスポンス・マーケティングは、その後多くの人に知られるようにはなりましたし、私も若かったので、素直にそのような現象があるんだと信じておりました。
ところが、この100匹目の猿現象は、まったくの作り話であって、そのような事実はなかったことを、この話を最初に紹介した生物学者のライエル・ワトソン博士が自ら認めているのでした。
そもそも、この話がはじめて世に出たのが1979年と、かなり昔の話なのですが、7年後の1986年にはワトソン博士が著書の中で、この話は作り話(正確には隠喩として用いた)だと認めています。
それにもかかわらず、比較的最近の2006年にも経営コンサルタントの船井幸雄氏が「100匹目の猿現象を起こそう!」というタイトルの本を出版していたりして、一部の人には既成事実として認識されてしまっているのではないかとも思えます。
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私自身も比較的最近まで、この100匹目の猿の話がデタラメだったことを知らなかったので、意外とまだ多くの人が信じているのではないでしょうか?
ちょっと調べてみたところ、反核運動を行っている団体などに100匹目の猿現象が、都合よく使われていたりして、みんなで原発反対を願えば世の中もそういう方向へ進む、みたいな教え(?)になっていたりします。
それと、意外にも政治家の人がこの話を利用していたり、学校の先生が生徒に放しているケースもあって、驚かされます。
UMAとか超常現象とかをブログで紹介している私がこんなこと言うのもあれなんですが、社会的に影響力のある人が、でっちあげを元に訓示を垂れるのはやめていただきたいですね。
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